任意成年後見制度と家族信託の比較
家族信託
本人が将来の判断能力が衰えたときに備えておく手段として「任意成年後見制度」が一般的ですが、違うアプローチをすることができる制度に「家族信託」があります。
こちらでは、任意成年後見制度と家族信託を比較して、その違いを説明したいと思います。
「任意成年後見制度」と「家族信託」の比較表
任意後見制度 | 家族信託 | |
開始時期 | 任意後見監督人が選任されたとき。 | 信託契約が締結されたとき。 |
存続期間 | 「任意後見監督人が選任されたとき」から「本人の死亡」まで。 | 信託契約で自由に設定することができる(委託者が死亡したあとも存続させることもできる)。 |
お金の使い方 | 本人のためだけに使える(家族のためには使えない)。 | 信託契約で自由に設定することができる。 |
不動産の処分 | 合理的な理由があればできる。 | 信託契約で設定した受任者の権限内であればできる。 |
悪質な業者と結んだ契約の取消 | 任意後見人に「取消権」はないため、契約を取消すことはできない。 | 受託者は契約を取消すことはできないが、信託財産は固有財産と分離され別管理されているため、信託財産には被害は及ばない。 |
契約の解除、終了 | 本人の認知症が回復すれば解除できる。 | 信託契約や信託法上の終了事由に該当すれば終了となる。 |
監督機関 | 任意後見監督人(必ず設置される)。 | 信託監督人などの監督機関を設置することができる(必ず設置されるわけではない)。 |
死後の手続き | 本人の死亡により後見業務は終了する。死後事務は別の契約が必要となる。 | 信託契約の内容により、死後事務を委任することができる。 |
財産管理者への報酬 | 任意後見人への報酬は任意後見契約で自由に設定できる。 | 受託者への報酬は信託契約で自由に設定できる。 |
監督機関への報酬 | 任意後見監督人への報酬は月額1~2万円発生する。 | 信託監督人などへの報酬は、信託契約で自由に設定できる。 |
任意成年後見より家族信託をおすすめする理由
第三者が選任される
任意成年後見は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して開始となります。この任意後見監督人には、第三者の弁護士などの専門職が選任されることが多いです。この第三者が家族の財産管理に介入してくることになります。
コストが高い
一旦後見が開始されると、原則、途中で止めることができず、本人が亡くなるまで継続することになります。成年後見監督人への報酬は、おおよそ月額2~3万円(家庭裁判所が決める)であり、それが後見終了するまで必要になるのです。仮に月額3万円として、後見期間が20年の場合、合計額は720万円になり、それが家族外に流出することになります。
財産の使用用途に制限がある
成年後見制度は、本人(被後見人)のために財産を使う制度であり、家族のために使うことができません。家族信託では、子どもや孫の生活費をまかなうように設計することもできますが、任意後見ではそれができません。
家族信託・任意後見に関するご相談
些細なことでもお気軽にご相談下さい。
ご要望があればご自宅などにお伺いしてお話をお聞きいたします。
☎06-4305-7395 ✉info@office-kani.com