家族信託が終了となる事由
家族信託
家族信託は、遺言とは異なり本人(委託者)の死亡によって終了するものではなく、信託の設定によっては子ども、孫の代まで継続するものです。
では、その家族信託はどのようなときに終了するのでしょうか。
信託の終了事由は大きく分けると下記の3つに大別されます。
- 信託終了の事由の発生による終了
- 当事者の合意による終了
- 裁判所の命令による終了
1.信託終了の事由の発生による終了
信託の目的の達成又は不達成
家族信託は、委託者が実現したい目的を達成するための仕組みです。この目的が達成されたとき、または達成することができないときに信託は終了となります。
受託者が受益者の全部を固有財産で保有する状態が1年間継続したとき
受益者が複数人の信託で、受託者=受益者となっている場合があります。他の受益者の死亡などにより受託者と受益者が同一人物となった状態が1年間継続したとき、その信託は終了します。
受託者が欠けた場合であって新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき
受託者が死亡した場合などで受託者が不在となってしまったときは、新しい受託を選任しなければなりません。身の回りに受託者にふさわしい方がいない場合は、裁判所に受託者の選任を申し立てることもできます。しかしながら、受託者が不在となって1年経つとその信託は終了することになります。
受託者が費用の償還等を信託財産からうけられないことにより終了させたとき
信託事務を行うために受託者が費用を立て替えることがあります。この場合その立て替えた分を信託財産から受けることになりますが、信託財産が不足して立て替え分を支払うことができない場合、その信託を終了させることができます。
信託が併合されたとき
一人の人が目的の異なる2つの信託を組むこともあり得ます。そして何らかの理由(一部の受益者の死亡など)で結局受益者が同一となってしまった場合に信託を併合することができます。併合する場合は、元の2つの信託は終了することになります。
信託財産の破産手続きの開始決定
不動産を信託している場合にその物件に付随しているローンの返済ができなくなったときなど信託財産が破産する場合(裁判所による破産手続き開始決定があった場合)にその信託は終了します。
2.当事者の合意による終了
信託の当事者(委託者および受益者)の合意解除
大半の家族信託は設定当初、委託者=受益者となっています。ですからこの場合は、本人(委託者、受益者)がいつでも信託を終了させることができることになります。
3.裁判所の命令による終了
特別の事情により信託目的・信託財産の状況その他の事情に照らし、受益者の利益に適合するに至ることが明らかで、裁判所が信託の当事者からの申立てにより信託の終了を命じたとき
信託を終了させることが受益者のためになるといった場合に信託の終了を裁判所に申し立てることができます。その申立てを受けて裁判所が信託の終了を是とした場合、信託の終了を命じることになります。
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