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家族信託を設定するにあたって決めるべき事項

家族信託 


 
家族信託を設定するにあたって様々な事項を決めなくてはなりません。
 
決めるべき項目は、下記のごとく多岐にわたります。

  1. 信託の目的
  2. 信託財産の内容
  3. 信託期間、信託終了事由
  4. 受託者(予備的受託者)
  5. 受益者、受益権
  6. 受益者保護関係人(信託監督人や受益者代理人)を設置するか
  7. 信託事務を委任する場合の信託事務代行者
  8. 信託財産の管理方法や運用方法などの管理上必要な事項
  9. 信託の目的実現のための配分(給付)の方法と給付額
  10. 信託の変更に関する定め
  11. 信託(残余)財産の貴族権利者(残余財産受益者を含む。)
  12. 清算に関する事務
  13. 受託者及び自益者保護関係人等の報酬に関すること

 

1.信託の目的

信託の目的とは、受託者が従うべき絶対的なものとされており、受託者が信託事務を進める上での指針となるものです。
委託者が実現したいことを目的に設定しますが、違法なもの、公序良俗に反するものは当然に目的とすることはできません。
 
次のようなものが目的の例です。

  • 「受益者の安定した生活の支援と福祉の確保こと」
  • 「信託財産の適正な管理と確実な継承をすること」
  • 「株式会社○○○○の安定した経営を確保するとともに後継の受益者の生活を支援すること」

 

2.信託財産の内容

信託財産は、委託者の財産から分離できる財産で、金銭的価値に見積りすることができるものとされています。

>>具体的な信託財産についてはこちらをご覧ください。

 

3.信託期間、信託終了事由

信託がいつから始まっていつ終わるのかを定めます。

いつから始まって
  • 公正証書作成と同時に効力が発生する
  • 本契約の締結と同時に効力が発生する

 

いつ終わるのか
  • 受託者〇、受益者△のいずれもが死亡したとき
  • 信託財産が消滅したとき
  • 受益者○○が満20歳に達したとき
  • 受益者○○が大学(もしくは大学院)を卒業したとき
  • 信託設定から20年を経過したとき

 

4.受託者(予備的受託者)

受託者とは信託事務を執り行う者で、家族信託の中心的役割を担う人物です。
 
信託財産は、転移され受託者名義になります。そして、その信託財産を信託の目的を達成するために管理・運用・処分する義務を負っています。
 
家族信託では、弁護士などの法律専門家は報酬を得て受託者に就くことはできません。
 

5.受益者、受益権

受益者とは、設定された信託において受益権を持つ者です。具体的に受益権とは、金銭の給付を受ける権利であったり、不動産を使用する権利や不動産からの収益を受ける権利などです。
 

6.受益者保護関係人(信託監督人や受益者代理人)を設置するか

判断能力が衰えた人や障がいのある人が受益者になる場合、その人を保護する役割りの人を指定することができます。それが、「信託監督人」であり、「受益者代理人」です。
 
これらの人は、受益者保護の観点から受託者に対し信託行為が正しく行われているかを監視します。
 
受託者と違い、受益者保護関係人には弁護士などの法律専門職を置くことができます。
p235
 

7.信託事務を委任する場合の信託事務代行者

受託者が担う信託事務は多岐にわたっています。その中には税務署への書類の提出などがありますが、税理士などの第三者にこれを依頼することも可能です。
 
信託事務を第三者に委託することを想定している場合は、信託設定時にその旨を定めておきます。
 

8.信託財産の管理方法や運用方法などの管理上必要な事項

不動産を信託財産に組み入れた場合、その不動産を換価処分(売却)することができるかどうか、老朽化したときに建て替えができるかどうかなどの取り決めをしておきます。

又、このような処分を行う場合に誰(受益者代理人など)の同意が必要かを決めておきます。
 

9.信託の目的実現のための配分(給付)の方法と給付額

信託の目的が「受益者の安定した生活の支援と福祉の確保こと」であるとします。この目的を実現するために必要な金銭の給付額とその方法を定めておきます。

  • 「受託者が相当と認める額の生活費を受益者に支給する。」
  • 「月額10万円を受益者に支給する。」
  • 「受益者の教育費(入学金、学費、留学費用を含む)等を交付し、または銀行振込等の方法で支払う。」

 

10.信託の変更に関する定め

家族信託は、目的を達成するために長期間にわたることもあります。その間に受益者を取り巻く状況の変化などにより信託内容を変更したい場合があると思います。そんな場合に備えて信託を変更する際の定めを決めておきます。
 

11.信託(残余)財産の帰属権利者(残余財産受益者を含む。)

信託が終了するときに、残った財産を誰が受け取るのかをあらかじめ決めておかなけれなりません。この定めがない場合、法定された者が受け取ることになり、意図しない結果になることになります。
 

12.清算に関する事務

信託が終了したときには清算手続きをしなければなりません。この清算手続きは「清算受託者」といわれる者が行いますが、これを誰にするのか決めておきます。
 

13.受託者及び受益者保護関係人等の報酬に関すること

受託者や受益者保護関係人等に等に信託事務に係る報酬を支給する場合は、その報酬に関する定めをしておかなければなりません。この定めがない場合は無報酬となってしまいます。
 
家族信託では、受託者に子どもや親族がなる場合が多く、無報酬をするケースも少なくないようです。
 

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