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退去強制令書が出ても諦めないで!再審情願で日本に残る方法

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入国管理局での手続きの末、ついに「退去強制令書」が発付されてしまった。日本での生活、愛する家族、築き上げたキャリア、そのすべてが失われるかもしれない――。このような状況に直面したとき、多くの方が深い絶望感に襲われ、すべての希望を失ってしまうかもしれません。

しかし、退去強制令書が発付された後でも、日本に残り続けられる可能性が完全に閉ざされたわけではありません。それが、法務大臣に対して処分の再考を求める「再審情願(さいしんじょうがん)」という、最後の手段です。これは、退去強制令書の発付後に生じた「新たな事情」を基に、改めて在留を願い出る手続きです。

こちらの記事では、退去強制令書が発付された後の最後の希望である「再審情願」について、その条件や手続き、成功のポイントを詳しく見ていきたいと思います。

 

 

再審情願とは?退去強制令書発付後の最後の手段

「再審情願」という言葉は、法律の専門家でなければ聞き慣れないかもしれません。これは、通常の在留資格の申請とは全く異なる、非常に特殊な手続きです。ここでは、まず退去強制令書が発付されるとどうなるのか、その上で再審情願がどのような位置づけの手続きなのかを正確に理解しましょう。

退去強制令書が発付されたらどうなる?(原則と例外)

退去強制令書は、いわば「日本から退去しなさい」という最終的な行政命令です。この令書が発付されると、原則として速やかに日本から出国しなければなりません。

多くの場合、入国者収容所(いわゆる「収容所」)に身柄を収容され、送還の準備が整い次第、本国へ送還されることになります。一度退去強制されると、原則として5年間(場合によっては10年間または無期限)は日本に上陸することができなくなります(上陸拒否期間)。

このように、退去強制令書の発付は、外国人本人とその家族の人生に極めて重大な影響を及ぼす、非常に重い処分なのです。

 

「再審情願」の位置づけ(法にないが実務上の手続き)

再審情願は、実は出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められた正式な手続きではありません。これは、日本国憲法第16条で保障されている「請願権」に基づき、「一度下された退去強制処分を、どうかもう一度考え直してください」と法務大臣にお願いする、実務上の運用として認められている手続きです。

法律上の権利ではないため、情願をすれば必ず審理されるわけでも、処分が停止されるわけでもありません。しかし、人道上見過ごせないような特別な事情がある場合には、この情願が認められ、退去強制処分が取り消されて在留が許可される可能性があるのです。

 

在留特別許可との違い(手続きのタイミングと前提)

「在留特別許可」と「再審情願による在留許可」は、どちらも法務大臣の裁量で在留が認められる点で似ていますが、決定的な違いがあります。それは手続きが行われるタイミングです。

  • 在留特別許可:退去強制令書が発付される「前」の、違反調査から法務大臣裁決までの手続きの中で判断されます。
  • 再審情願による在留許可:退去強制令書が発付された「後」に、新たな事情を理由として処分の見直しを求める手続きです。

つまり、再審情願は、在留特別許可を得られず、一度は「退去すべし」との判断が確定した後に、敗者復活戦のように行われる手続きとイメージすると分かりやすいでしょう。そのため、認められるハードルは在留特別許可よりもさらに高くなります。

 

再審情願が認められるための「新たな事情」とは?

再審情願が認められるためには、退去強制令書が発付された時点では存在しなかった、あるいは考慮されていなかった「新たな事情」の発生が不可欠です。一度確定した処分を覆すだけの、よほど強力で、人道上見過ごせない事情でなければなりません。ここでは、どのような事情が「新たな事情」として認められうるのか、具体的なケースを見ていきましょう。

最も典型的な事情:日本人・永住者との結婚

再審情願が認められる最も典型的で強力な理由が、日本人または永住者との真摯な婚姻が成立したことです。

退去強制令書の発付前から交際していたカップルが、令書発付後に婚姻届を提出した、というケースがこれにあたります。ただし、単に結婚したという事実だけでは不十分です。その婚姻が偽装ではなく、愛情に基づいた真実のものであり、安定的・継続的なものであることを客観的な証拠で立証する必要があります。

 

日本人の実子の出生・認知

日本人を父または母とする実子が生まれた、あるいは認知したという事実も、極めて重要な「新たな事情」となります。

特に、その子どもが日本国籍を取得し、情願者である親が主な監護養育者である場合、親を国外に退去させることは子どもの福祉を著しく害することになります。このような「子の利益」の観点は、審査において非常に重視されます。

 

人道上、看過できない重大な事情の発生(病気・介護など)

身分関係の変動以外にも、人道的な配慮から再審情願が考慮されるケースがあります。

例えば、

  • 退去強制令書発付後に、日本でしか治療できない重篤な病気を発症した。
  • 日本に住む親族が重病となり、情願者による介護が不可欠になった。
  • 母国で大規模な紛争や自然災害が発生し、帰国することが生命の危険に直結する状況になった。

これらの事情は、いずれも本人の責任とはいえない、やむを得ない状況の変化であり、医師の診断書や現地の情勢を示す報道などで客観的に証明する必要があります。

 

再審情願の手続きと成功させるためのポイント

再審情願は、法律に根拠のない特殊な手続きであるため、決まった書式や流れがあるわけではありません。しかし、実務上、許可の可能性を高めるために踏むべき手順や押さえるべきポイントが存在します。ここでは、再審情願を成功に導くための具体的な方法と、注意すべきリスクについて解説します。

手続きの開始:再審情願書の提出

手続きは、法務大臣宛の「再審情願書」を作成し、地方出入国在留管理局に提出することから始まります。この情願書には、「退去強制令書発付処分を再考し、在留を特別に許可していただきたい」という趣旨を明確に記載します。

提出先は、本人が収容されている場合はその収容施設を管轄する入管、収容されていない場合(逃亡している場合など)は、居住地を管轄する入管となります。

 

成功の鍵を握る「情願理由書」の書き方

再審情願の成否は、添付する「情願理由書」の内容にかかっていると言っても過言ではありません。この理由書で、なぜ退去強制処分を覆してまで日本に在留すべきなのか、その正当性を審査官に納得させる必要があります。

記載すべき内容は、在留特別許可の理由書と重なる部分も多いですが、特に以下の点を強調する必要があります。

  • 退去強制令書発付後に生じた「新たな事情」の具体的内容:いつ、どのような新しい事情が発生したのかを時系列で明確に説明します。
  • その事情がなぜ人道上、看過できないほど重大なのか:例えば、結婚であればその真摯さ、子の養育であればその必要性、病気であればその深刻さを、感情に訴えかけるように記述します。
  • 過去の違反事実に対する深い反省の情:一度は法を破ったことへの反省を改めて示し、二度と違反しないことを誓約します。

 

提出すべき重要な添付書類

情願理由書の内容を裏付ける客観的な証拠(立証資料)の提出が不可欠です。どのような「新たな事情」を主張するかによって必要書類は異なりますが、一般的には以下のようなものが考えられます。

必要書類(例)
  1. 【結婚した場合】
    • 婚姻後の戸籍謄本
    • 交際経緯を証明する資料(写真、メール、通話記録など)
    • 結婚式の写真、親族との写真
    • 配偶者の在職証明書、課税・納税証明書
    • 身元保証書、嘆願書(配偶者、親族、友人などから)
  2. 【子が出生した場合】
    • 出生届記載事項証明書、子の戸籍謄本
    • 母子手帳の写し
    • 子の養育・監護が必要であることを示す資料
  3. 【病気・介護の場合】
    • 医師の診断書(病状、治療の必要性・困難性などを詳述)
    • 介護の必要性を示す資料(要介護認定通知書など)

 

収容の長期化リスクと仮放免許可申請

再審情願を行う上で、最も注意すべき点が収容が長期化するリスクです。情願をすれば審査のために送還は一時的に停止されますが、審査期間が数ヶ月から1年以上に及ぶことも珍しくありません。その間、収容所での不自由な生活が続くことになります。

この身体拘束を解くために、「仮放免許可申請」を並行して行うことが一般的です。もし仮放免が許可されれば、保証金を納付するなどの条件付きで、収容所から出て社会生活を送りながら審査の結果を待つことができます。

 

なぜ再審情願は専門家に相談すべきなのか

再審情願は、一度確定した行政処分を覆すことを目指す、極めて難易度の高い手続きです。法律上の根拠もなく、すべてが法務大臣の裁量に委ねられています。このような不確実でリスクの高い手続きを、専門家の助けなしに進めるのは賢明ではありません。ここでは、入管業務に精通した行政書士に相談すべき理由を解説します。

許可の可能性を客観的に判断できる

「結婚したから」「子どもが生まれたから」といって、必ず再審情願が認められるわけではありません。その事情が、過去の違反の重大性やその他のマイナス要素を上回るほどのインパクトを持つかどうかが問われます。

経験豊富な行政書士は、これまでの多くの事例に基づき、ご自身の状況で情願が認められる可能性がどの程度あるのかを客観的に判断できます。見込みが薄いにもかかわらず情願して収容が長期化する、といった最悪の事態を避けるための道標となります。

 

高い専門性が求められる書類作成

情願理由書や立証資料の準備は、再審情願の成否を左右する最も重要なプロセスです。どのような事実を、どのような言葉で、どのような証拠と共に提示すれば審査官の心を動かせるのか。これには、入管実務の深い知識と経験に裏打ちされたノウハウが必要です。

専門家は、膨大な情報の中からアピールすべきポイントを的確に抽出し、説得力のあるストーリーとして書類を構成することができます。この書類の質の差が、許可と不許可を分けると言っても過言ではありません。

 

収容長期化のリスク管理と精神的サポート

再審情願とセットで考えなければならないのが、収容の長期化リスクと仮放免許可申請です。いつ終わるとも知れない収容所での生活は、本人だけでなく、支える家族にとっても計り知れない精神的苦痛を伴います。

行政書士は、再審情願と並行して、適切なタイミングで仮放免許可申請を行うなど、収容による負担を最小限に抑えるための戦略を立てることができます。また、先の見えない不安な状況において、法的な手続きを任せられる専門家がいるという事実は、何よりの精神的な支えとなるはずです。

 

まとめ

退去強制令書の発付は、絶望の淵に立たされるような、非常に重い処分です。しかし、その後に日本人との結婚や子の出生といった「新たな事情」が生じた場合には、「再審情願」という形で、再び日本での在留を目指す道が残されています。

ただし、再審情願は法律に定められた権利ではなく、認められるハードルは極めて高いのが現実です。成功の鍵は、一度確定した処分を覆すに足るだけの、強力かつ人道上やむを得ない事情を、説得力のある書面と客観的な証拠で立証できるかどうかにかかっています。また、収容の長期化という大きなリスクも伴います。

人生を左右するこの重大な局面で、誤った判断をしてしまうことのないよう、まずは一度、入管業務を専門とする行政書士にご相談ください。ご自身の状況で再審情願に勝算はあるのか、どのような準備をすべきなのか。専門家と共に最善の戦略を練ることが、暗闇の中に光を見出すための、最も確実な一歩となるでしょう。

 

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    また、費用やサポート内容についてもご説明させていただきます。

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    着手金をお支払いいただきまして、正式なご依頼とさせていただきます。

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    メール等でヒアリングをさせていただきながら、当事務所が作成または取得できる書類は代行して手配いたします。
    お客様で準備、作成していただく必要がある書類はご協力をしていただきます。

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    後日、入国管理局から追加資料や事情説明などが求められる場合がありますが、その際はご連絡の上で速やかに対応します。
    審査の進捗状況なども適宜確認、ご報告いたします。

  • 6.残金のご入金

    申請のタイミングで残りの費用をお支払いいただきます。

  • 6.許可・不許可の連絡

    入国管理局から許可通知が届き次第、ご連絡いたします。
    同時にビザ受領に必要な証印手続きの準備を行い入国管理局に出頭します。
    ビザの受領が終わり次第お客様にお渡しします。

この記事を監修した人

大阪の行政書士 可児和武の画像
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。

定型的な業務以外にもできる限り対応させていただいております。
お困り事がありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
 
 
経歴紹介
理工系の学部卒業
機械製造メーカーに就職 金型の設計部門に配属
2年半後に、父親の経営する自動車部品メーカーに転職
製造設備のオペレーター、品質管理の責任者を経て代表取締役に就任(39歳のとき)
事業会社を売却、代表取締役退任
行政書士事務所開業、現在に至る