【2025年最新】経営管理ビザの要件が厳格化?緩和?改正点を専門家が徹底解説!
ビザ(在留資格)申請サポート
日本で会社を設立し、夢の実現に向けて第一歩を踏み出そうとしている外国人起業家にとって、在留資格「経営・管理」(以下、経営管理ビザ)の取得は避けて通れない重要な関門です。しかし、その経営管理ビザの要件が2025年に大きく変わろうとしていることをご存知でしょうか。出入国在留管理庁は、制度の悪用防止と、より質の高い起業家を誘致する目的で、要件を大幅に厳格化する改正案を公表しました。一方で、革新的なアイデアを持つ起業家を支援するための「スタートアップビザ」制度が全国展開されるなど、緩和ともとれる動きもあります。「自分の場合はどうなるのだろう?」「今から準備できることは?」といった不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、2025年の経営管理ビザ改正のポイントと、今後取るべき対策について詳しく見ていきたいと思います。
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【2025年10月施行】経営管理ビザはこう変わる!改正の全体像
2025年8月26日、出入国在留管理庁から公表された省令改正案は、多くの外国人起業家に衝撃を与えました。これまで「資本金500万円」という比較的低いハードルで挑戦できた経営管理ビザが、一気に高い壁となる可能性が出てきたのです。特に大きな影響があるのは、資本金と雇用の要件です。ここでは、現行制度と比較しながら、具体的な変更点を分かりやすく解説します。これから申請を考えている方はもちろん、すでにビザをお持ちの方も、今後の更新に大きく関わる内容ですので、しっかりと確認しておきましょう。
資本金要件が500万円から3,000万円へ大幅引き上げ
今回の改正で最もインパクトが大きいのが、資本金要件が現行の500万円以上から3,000万円以上へと、一気に6倍に引き上げられる点です。
現行制度では、「500万円以上の資本金」または「常勤職員2名以上の雇用」のどちらかを満たせばよかったため、多くの起業家は前者を選択していました。しかし改正後は、この選択制が廃止され、後述する雇用要件と合わせて両方を満たすことが必須となります。
この3,000万円という金額は、単なる数字の変更以上の意味を持ちます。これまで個人レベルの資金で挑戦できた小規模な起業が非常に難しくなり、十分な資金調達力を持つ、より大規模で安定した事業基盤が求められることになります。
「常勤職員1名以上の雇用」が必須に
資本金要件の引き上げと同時に、新たに「常勤職員1名以上の雇用」が義務化されます。
ここでの「常勤職員」とは、日本人、特別永住者、または「永住者」「日本人の配偶者等」などの身分系の在留資格を持つ外国人に限られます。技術・人文知識・国際業務などの就労ビザで働く外国人は対象外となるため注意が必要です。
これまではいわゆる「一人社長」でもビザの取得が可能でしたが、改正後は必ず誰かを雇用し、給与を支払っていく必要があります。これにより、日本国内での雇用創出に貢献する意思と能力が、ビザ取得の段階で明確に問われることになります。
経営者本人の資質も厳しく審査
今回の改正では、事業の規模だけでなく、経営者自身の能力や経験もより厳しく問われるようになります。具体的には、以下のいずれかの要件を満たすことが求められます。
- 経営・管理に関する実務経験が3年以上あること
- 経営・管理または事業に関連する分野の修士以上の学位(または専門職学位)を有すること
さらに、提出する事業計画書は、中小企業診断士や公認会計士といった経営の専門家による事前評価を受けたものでなければならなくなります。これまでは自分で作成した事業計画書でよかったのですが、今後は専門家のお墨付きを得た、客観的で実現可能性の高い計画が必須となるのです。
なぜ今、要件が大幅変更?厳格化の背景と政府の狙い
今回の急な厳格化に、「なぜ今?」と戸惑っている方も多いでしょう。この背景には、近年の経営管理ビザの利用実態と、それに対する政府の危機感があります。単に意地悪で要件を厳しくしているわけではなく、制度をより健全なものにし、日本の経済成長に繋げたいという明確な意図があるのです。ここでは、今回の改正に至った3つの主な理由を深掘りしていきます。
制度の悪用・形骸化への対策
厳格化の最大の理由は、経営管理ビザが本来の目的とは異なる形で悪用されるケースが増加したことです。
現行の500万円という資本金要件は、2006年に定められてから約20年間変わっていません。この間に日本の物価や経済規模は大きく変化し、円安も進んだ結果、この金額は国際的に見て極めて低い水準となっていました。そのため、「お金で買えるビザ」と揶揄されるようになり、実際には事業活動を行わないペーパーカンパニーを設立して在留資格を取得したり、移住の手段として利用されたりする事例が後を絶ちませんでした。
こうした状況は、制度の信頼性を損なうだけでなく、不法就労の温床になるなどの問題も引き起こしていました。そこで政府は、資本金と雇用の両面から事業の実態を厳しく問い、安易なビザ取得を防ぐことで、制度の健全化を図ろうとしているのです。
国際水準に合わせた「質の高い起業家」の誘致
今回の改正は、日本の起業家ビザの基準を、他の先進国のレベルに合わせるという狙いもあります。
例えば、アメリカや韓国などでは、同様の投資家向けビザを取得するために、日本円にして数千万円規模の高い投資額が求められるのが一般的です。これに比べ、日本の500万円という基準はあまりにも低く、本気でビジネスを成功させようという意欲のある起業家ではなく、単に日本に住みたいだけの人まで呼び寄せてしまう可能性がありました。
政府は今回の改正を機に、受け入れ方針を「量から質へ」と大きく転換し、十分な資本力と経営能力を持ち、日本の経済成長や雇用創出に大きく貢献してくれる「本気度の高い」起業家を厳選して受け入れたいと考えているのです。
ある行政書士が見た現実
ここで一つ、私が経験したエピソードをお話しします。数年前、ある国の青年が経営管理ビザの相談に訪れました。彼の事業計画は、母国の雑貨を輸入販売するというもので、資本金はちょうど500万円。計画書は熱意にあふれていましたが、具体的な販売戦略や収支計画は曖昧でした。
なんとかビザは取得できたものの、1年後の更新相談で再会した彼は、すっかり疲弊していました。事業は赤字続きで、実際にはアルバイトで生計を立てている状態。「こんなはずではなかった。事業を続ける自信がない」と彼はうつむきました。
この経験は、私にとって大きな教訓となりました。安易にビザが取れてしまうことが、必ずしも本人の幸せに繋がるとは限らないのです。今回の厳格化は、彼のような不幸なケースを減らし、起業家が日本で事業を継続し、成功するための「覚悟」を問うものなのかもしれません。
厳格化だけじゃない!もう一つの選択肢「スタートアップビザ」とは?
経営管理ビザの厳格化に肩を落としている方もいるかもしれませんが、希望の光もあります。それが、革新的な技術やアイデアを持つ起業家を支援するための「スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)」です。この制度は、これまで一部の特区でしか利用できませんでしたが、2025年1月から全国で利用できるようになりました。3,000万円の資本金を用意するのが難しい方にとって、有力な選択肢となる可能性があります。
スタートアップビザの概要とメリット
スタートアップビザは、正式な在留資格ではなく、「特定活動」という在留資格の一種です。
最大のメリットは、経営管理ビザの要件である「事業所の確保」や「資本金の払い込み」などを満たす前に日本に入国し、最長2年間、起業準備活動を行える点です。この期間中に、自治体や認定された民間事業者から支援を受けながら、法人設立や資金調達、事業所契約などの準備を進めることができます。
つまり、いきなり高いハードルを越えるのではなく、助走期間を経て経営管理ビザへの切り替えを目指せる制度なのです。
利用するための手続きと注意点
スタートアップビザを利用するには、まず、事業を行いたい地域の地方公共団体や、国から認定された民間事業者(外国人起業活動管理支援機関)に対して、自身の事業計画を提出し、「起業準備活動計画」の確認証明書を交付してもらう必要があります。
その証明書を添えて、出入国在留管理局に「特定活動」の在留資格を申請するという流れになります。
ただし、注意点もあります。この制度は誰でも利用できるわけではなく、事業の新規性や成長性が厳しく審査されます。また、あくまで「準備期間」のビザであるため、期間終了後には、原則として新しい基準(資本金3,000万円など)を満たした上で経営管理ビザへ変更しなければなりません。したがって、この制度を利用する場合でも、最終的なゴールを見据えた綿密な資金計画と事業戦略が不可欠です。
改正後に向けて、外国人起業家が今から準備すべきこと
2025年10月中旬の施行が予定されている今回の改正。「まだ時間がある」と考えるか、「もう時間がない」と考えるかで、未来は大きく変わります。新しい制度の下で経営管理ビザの取得・更新を成功させるためには、これまで以上に周到な準備と戦略的なアプローチが求められます。ここでは、今すぐ取り組むべき具体的なアクションプランを3つのステップでご紹介します。
事業計画の抜本的な見直しと専門家への相談
まず着手すべきは、事業計画のブラッシュアップです。改正後は、中小企業診断士などの専門家による評価が必須となるため、自己満足の計画ではなく、客観的なデータに基づいた、説得力のある事業計画書を作成する必要があります。
以下の点を重点的に見直しましょう。
- 市場分析とターゲット顧客:市場規模、競合の状況、自社の強みは何か?
- 収益モデル:どのようにして3,000万円の投資を回収し、利益を生み出すのか?
- 資金調達計画:自己資金、融資、投資家からの出資など、具体的な資金のあては?
- 雇用計画:どのような人材を、いつ、何人雇用するのか?
早い段階で行政書士や中小企業診断士といった専門家に相談し、事業計画の壁打ちをしてもらうことを強くお勧めします。専門家の視点からアドバイスを受けることで、計画の甘い部分や、審査官が疑問に思うであろう点を洗い出し、より精度の高い計画に練り上げることができます。
資金調達と出どころの証明準備
3,000万円という資本金は、個人で用意するには非常に大きな金額です。自己資金だけで足りない場合は、親族からの借入れや、ベンチャーキャピタルからの出資など、様々な方法を検討する必要があります。
重要なのは、その資金がどのようにして形成されたのかを、客観的な資料で明確に証明できるようにしておくことです。例えば、親から借りるのであれば、金銭消費貸借契約書を作成し、送金の記録(銀行の取引明細など)を残しておく必要があります。出どころの不明な「見せ金」と判断されると、一発で不許可になるリスクがあります。
また、自身の学歴や職歴を証明する書類(卒業証明書、在職証明書、過去に関与した事業の決算書など)も、早めに収集しておきましょう。
必要書類の準備
経営管理ビザの申請には、非常に多くの書類が必要となります。改正後はさらに提出書類が増えることが予想されます。以下に、一般的な必要書類の例を挙げます。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、切手を貼付したもの)
- 事業計画書(専門家の評価を受けたもの)
- 会社の登記事項証明書
- 定款の写し
- 資本金の払い込みを証明する資料(通帳の写しなど)
- 事業所の賃貸借契約書の写し
- 常勤職員の雇用契約書及び住民票など
- 申請人の経歴を証明する文書(履歴書、在職証明書など)
これらの書類は、一つでも不備があると審査が大幅に遅れたり、不許可の原因になったりします。特に海外から取り寄せる必要がある書類は時間がかかるため、計画的に準備を進めることが重要です。
まとめ
2025年の経営管理ビザの改正は、日本で起業を目指す外国人にとって、まさに「ゲームチェンジ」と言える大きな転換点です。資本金3,000万円と常勤職員1名の雇用という高いハードルは、事業の「安定性・継続性」をこれまで以上に厳しく問うという、国からの明確なメッセージと言えるでしょう。
しかし、これは決して「外国人を締め出す」ための改正ではありません。むしろ、制度の穴を塞ぎ、国際基準に合わせることで、真に日本経済へ貢献する意欲と能力のある起業家を正当に評価し、受け入れるための健全化のプロセスです。
厳格化された「新・経営管理ビザ」を目指す道だけでなく、革新的なアイデアを持つ人には「スタートアップビザ」という新たな道も開かれました。自身の持つ資本力、事業の革新性、そして経歴に応じて、最適なルートを戦略的に選ぶことが、これまで以上に重要になります。
制度が複雑化し、求められるレベルが高くなるからこそ、専門家のサポートが不可欠です。ご自身の夢を実現するため、ぜひ一度、私たちのような専門家にご相談ください。
みなとまち行政書士事務所のビザ取得サポートサービス
みなとまち行政書士事務所は、コンサルティングから書類作成はもちろん、入国管理局への申請までサポートさせていただきます。
サービス内容
- ビザ(在留資格)取得に関するコンサルティング
- 入国管理局へ提出する書類の収集
- 入国管理局へ提出する書類の作成
- 入国管理局へ申請
- 結果受領に至るまでのサポート
費用
サポートの流れ
-
1.お問い合わせ
電話(06-4305-7395)や、お問合せフォーム(こちら)からお問い合わせください。
些細なことでもお気軽にお尋ねください。
ビザ取得の可能性が極端に低い場合などは理由をご説明します。 -
2.面接 / 見積
ご依頼を検討いただける場合、資料などを拝見し、更に細かくお話をお聞きさせていただくべく面談をさせていただきます。
また、費用やサポート内容についてもご説明させていただきます。 -
3.ご依頼の確定
サポート内容や費用等の条件にご納得いただければ、ご依頼を確定することを申し付けください。
着手金をお支払いいただきまして、正式なご依頼とさせていただきます。 -
4.書類の収集・作成
メール等でヒアリングをさせていただきながら、当事務所が作成または取得できる書類は代行して手配いたします。
お客様で準備、作成していただく必要がある書類はご協力をしていただきます。 -
5.申請
入国管理局へ申請します。申請後は速やかに申請日と受理番号をお知らせします。
後日、入国管理局から追加資料や事情説明などが求められる場合がありますが、その際はご連絡の上で速やかに対応します。
審査の進捗状況なども適宜確認、ご報告いたします。 -
6.残金のご入金
申請のタイミングで残りの費用をお支払いいただきます。
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6.許可・不許可の連絡
入国管理局から許可通知が届き次第、ご連絡いたします。
同時にビザ受領に必要な証印手続きの準備を行い入国管理局に出頭します。
ビザの受領が終わり次第お客様にお渡しします。
この記事を監修した人
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。
定型的な業務以外にもできる限り対応させていただいております。
お困り事がありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
経歴紹介
理工系の学部卒業
機械製造メーカーに就職 金型の設計部門に配属
2年半後に、父親の経営する自動車部品メーカーに転職
製造設備のオペレーター、品質管理の責任者を経て代表取締役に就任(39歳のとき)
事業会社を売却、代表取締役退任
行政書士事務所開業、現在に至る