出国命令制度とは?強制退去との違いとメリット・デメリット
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不法滞在が発覚した場合、日本の入管法には「強制退去」という厳しい措置が設けられています。しかし、状況によっては「出国命令制度」というより穏便な手続きが認められる場合があります。この制度を正しく理解することで、在留資格を持たずに日本に滞在している外国人本人やその家族が、今後の人生をより良い方向に導ける可能性があります。
こちらの記事では、「出国命令制度」とは何か、その要件や手続き、強制退去との違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
出国命令制度とは?
外国人が在留期間を超えて滞在してしまった場合、通常は退去強制(いわゆる強制送還)となり、その後の再入国に大きな制限がかかります。しかし、法務省は「出国命令制度」という制度を設け、条件に該当する場合には、自主的な出国を認めています。
制度の概要
出国命令制度とは、正当な在留資格がないまま日本に滞在していた外国人が、自主的に出頭し、一定の条件を満たした場合に、退去強制手続を経ずに出国を認められる制度です。
制度が創設された背景
2004年の入管法改正により創設されたこの制度は、「悪質ではない不法滞在者に対して再起の機会を与える」ことを目的としています。
制度を利用した人数
法務省の統計によれば、毎年数千人規模でこの制度を利用しています。特に東南アジア諸国出身の方の利用が多いのが特徴です。
出国命令制度の対象者と適用要件
この制度は誰でも使えるわけではありません。制度の適用にはいくつかの厳格な要件があります。
対象となるのはこんな人
- 日本に不法滞在していたが、自ら入管に出頭した
- 犯罪歴がない、または重大な違反歴がない
- 偽造在留カードの使用など、悪質な手段を使っていない
- 過去に退去強制や出国命令の処分を受けていない
出国命令制度が認められないケース
- 不法就労を行っていた者
- 刑事事件を起こしたことがある者
- 再入国禁止期間中の者
申請から出国までの流れ
- 本人が入管に出頭
- 事情聴取・調査(最大で数日間収容されることもあり)
- 出国命令の発令
- 自費で航空券を手配し、出国
強制退去との違い
出国命令制度と強制退去制度は、いずれも日本から出国する制度ですが、再入国の可否や処分の履歴において大きな違いがあります。
法的な位置づけ
出国命令はあくまで「行政指導」に近く、強制退去のように退去強制令書は出されません。つまり前科や記録としての重みが異なります。
再入国可能までの期間の違い
- 出国命令制度:1年間は再入国不可(例外あり)
- 強制退去処分:原則として5年間(悪質な場合は10年間)再入国不可
本人の心理的・社会的影響
強制退去処分を受けると、再入国を望む場合のビザ審査で大きなハンデとなります。反対に出国命令は「自主的な出頭・協力」の実績とみなされることもあります。
出国命令制度のメリットとデメリット
出国命令制度には、本人にとってプラスとなる面もあれば、そうでない面もあります。以下にその主なポイントを整理します。
メリット
- 再入国禁止期間が短い(1年)
- 収容期間が短縮される可能性が高い
- 退去強制の履歴が残らない
- 自主的な対応として評価されやすい
デメリット
- 不法就労歴や犯罪歴があると適用されない
- 費用(航空券など)は自己負担
- 再入国に向けたサポートは原則ない
制度を使うかどうかの判断ポイント
将来、日本での再入国や在留を希望する場合は、出国命令制度の活用は大きなメリットとなります。早期に信頼できる行政書士に相談することが重要です。
まとめ
出国命令制度は、不法滞在の状態を解消し、将来的な日本への再入国の可能性を残す制度です。ただし、制度の適用には明確な条件があり、誰にでも利用できるものではありません。「強制退去」との違いをしっかり理解した上で、早期の対応を心がけることが再起への第一歩となります。
不法滞在している方、その家族、恋人などがこの制度を知り、正しい判断と行動を取るための一助となれば幸いです。
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審査の進捗状況なども適宜確認、ご報告いたします。 -
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この記事を書いた人
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。
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経歴紹介
理工系の学部卒業
機械製造メーカーに就職 金型の設計部門に配属
2年半後に、父親の経営する自動車部品メーカーに転職
製造設備のオペレーター、品質管理の責任者を経て代表取締役に就任(39歳のとき)
事業会社を売却、代表取締役退任
行政書士事務所開業、現在に至る