お役立ち情報

お問い合わせ ページトップへ

帰化申請の日本語能力はN1必須?JLPTのレベルと審査への影響を徹底解説

帰化申請サポート 

「日本が好きで、将来もずっとこの国で暮らしていきたい」そう考えて、日本国籍の取得、つまり「帰化」を検討している外国人の方は年々増加しています。

しかし、帰化申請には様々な要件があり、その中でも多くの方が不安に感じるのが「日本語能力」ではないでしょうか。

「日常会話は問題ないけれど、読み書きには自信がない」「日本語能力試験(JLPT)でいうと、どのくらいのレベルが必要なの?」「N1がないと不許可になるって本当?」といった疑問や不安の声をよく耳にします。確かに、帰化申請の手続きでは、日本語能力が様々な場面で問われることになります。
 
こちらの記事では、帰化申請で求められる日本語能力の具体的な目安や、日本語能力試験(JLPT)のレベルが審査にどう影響するのかについて詳しく見ていきたいと思います。

 

帰化申請で日本語能力が問われる理由

帰化申請を考え始めると、多くの方がその複雑な手続きや多くの提出書類に圧倒されるかもしれません。

その中でも、特に見過ごされがちでありながら、審査において極めて重要なのが「日本語能力」です。

実は、国籍法には「日本語能力試験N1に合格していること」といった明確な条文はありません。 しかし、事実上、日本で生活していくために十分な日本語能力があることは、帰化許可の前提条件となっています。

なぜなら、日本国民になるということは、単に日本に住むだけでなく、社会の一員として様々な義務や権利を担うことを意味するからです。

例えば、選挙権の行使もその一つです。候補者の主張を理解し、自らの意思で投票するためには、日本語の読解力が不可欠です。このように、法律に明記されていないからといって、日本語能力が軽視されることは決してありません。

法律にはない「暗黙の要件」

国籍法第5条には、帰化の一般的な条件として「引き続き5年以上日本に住所を有すること」や「素行が善良であること」などが定められていますが、日本語能力に関する直接的な規定は見当たりません。

しかし、これは「日本語能力は問われない」という意味ではありません。

法務局の審査実務においては、「日本国民として社会生活を営む上で支障のない日本語能力」が暗黙の要件として存在します。

これは、帰化後に納税や社会保障の手続きを自分で行ったり、地域社会の一員として円滑なコミュニケーションを図ったりするために、最低限必要な能力と考えられているためです。

 

日本人としての義務と権利

日本国籍を取得すると、参政権(選挙権・被選挙権)が付与されるなど、様々な権利を得る一方で、納税の義務などを負うことになります。

これらの権利を正しく行使し、義務を果たすためには、日本語の理解が不可欠です。

例えば、選挙公報を読んで各候補者の政策を比較検討したり、確定申告の書類を作成したりする場面を想像してみてください。

いずれも、一定レベルの日本語能力がなければ困難です。法務局は、申請者が将来にわたって日本国民としての責任を果たせるかどうかを、日本語能力という側面からも慎重に判断しているのです。

 

【結論】求められる日本語能力は「小学校3年生」レベル

では、具体的にどの程度の日本語能力が求められるのでしょうか。

多くの方が「JLPTのN1レベルでないと難しいのでは?」と心配されますが、必ずしもそうではありません。

一般的に、帰化申請で求められる日本語能力の目安は「日本の小学校3年生程度の読み書き・会話能力」とされています。

これは、日常生活で使われる基本的な語彙や漢字を理解し、自分の考えを簡単な文章で表現できるレベルです。

もちろん、これはあくまで目安であり、申請者の年齢や学歴、日本での生活状況などによって総合的に判断されます。

JLPT(日本語能力試験)との関係

日本語能力を客観的に示す指標として、JLPT(日本語能力試験)のスコアは参考になります。

一般的に、小学校3年生レベルはJLPTのN3~N4程度に相当すると言われています。

N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベル、N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルです。

したがって、N1やN2といった高いレベルの資格が必須というわけではありません。

実際に、N3程度の能力で帰化が許可されているケースは数多くあります。

ただし、JLPTのスコアはあくまで参考資料の一つです。たとえN1に合格していても、面接での受け答えがしどろもどろであれば、日本語能力に疑問を持たれてしまう可能性もあります。逆に、資格がなくても、担当官とのやり取りがスムーズであれば、高く評価されることもあります。

 

読み・書き・会話のバランスが重要

ここで重要なのは、「読む」「書く」「話す」の3つの能力がバランス良く備わっていることです。

例えば、会話は流暢でも、ひらがなやカタカナの読み書きがおぼつかなければ、審査官に良い印象を与えません。

特に、帰化申請では「帰化の動機書」など、自筆で作成する書類がいくつかあります。これらの書類の内容はもちろん、使われている語彙や漢字、文章の構成力なども日本語能力を判断する材料となります。

審査官は、申請者が日常生活のあらゆる場面で日本語を使いこなせるかを見ています。

小学校3年生レベルの具体的な目安
  • ひらがな、カタカナ、小学校で習う基本的な漢字(約440字)の読み書きができる。
  • 簡単な自己紹介や家族、仕事について話すことができる。
  • 役所からの簡単なお知らせや、子供の学校からの手紙の内容を理解できる。
  • 「私の国の文化」や「日本に来て驚いたこと」など、身近なテーマについて簡単な作文が書ける。

 

日本語能力はいつ、どうやってチェックされるのか?

帰化申請の手続きにおいて、日本語能力は一度のテストだけで判断されるわけではありません。

申請の準備段階から許可が下りるまでの様々な場面で、総合的にチェックされています。

「まだ大丈夫だろう」と油断していると、思わぬところで日本語能力の不足を指摘されかねません。ここでは、具体的にどのような場面で、どのように日本語能力が確認されるのかを時系列で見ていきましょう。

それぞれの段階で、担当官が何を確認しようとしているのかを理解しておくことが、スムーズな申請への第一歩となります。

① 事前相談・申請書類の提出時

最初の関門は、管轄の法務局で行われる事前相談です。

ここでは、担当官とのやり取りを通じて、基本的なコミュニケーション能力が確認されます。担当官の質問の意図を正確に理解し、自分の状況を日本語で説明できるかがポイントです。

また、申請書類を提出する際にも、書類の内容について質問されることがあります。この受け答えの様子も、日本語能力を判断する材料とされています。

 

② 帰化の動機書などの自筆書類

帰化申請では、「帰化の動機書」を自筆で作成・提出する必要があります。

なぜ日本国籍を取得したいのか、日本人としてどのように社会に貢献していきたいのかを、自分の言葉で綴ります。行政書士などに作成を依頼することも可能ですが、動機書は申請者本人の日本語能力を示す重要な証拠となります。文章の構成力、語彙の豊富さ、漢字の使用レベルなどから、読み書きの能力が総合的に評価されます。

 

③ 宣誓書の読み上げ

申請書類が受理される際、担当官の前で「宣誓書」を読み上げるよう求められることがあります。

ここでは、書かれている文章を正しく、かつ意味を理解しながら音読できるかがチェックされます。

つっかえたり、読み間違えたりすることが多いと、読解力に不安があると判断される可能性があります。

 

④ 面接と日本語テスト

申請から数ヶ月後に行われる面接は、日本語能力審査の山場です。

面接官との約1時間にわたる質疑応答は、すべて日本語で行われます。

ここでの受け答えがスムーズでない場合や、担当官が日本語能力に疑問を持った場合には、面接の最後に筆記テストが実施されることがあります。

テストの内容は法務局によって異なりますが、ひらがな・カタカナの変換、漢字の読み書き、簡単な文章問題など、小学校3年生レベルの問題が中心です。このテストの結果が、帰化の許可・不許可に大きく影響することもあります。

 

日本語能力に不安がある場合の対策

「自分の日本語能力で、本当に帰化申請ができるだろうか…」と不安に感じている方も、諦める必要はありません。

今からでもできる対策はたくさんあります。大切なのは、自分の弱点を正確に把握し、計画的に学習を進めることです。

例えば、ある30代の中国人女性、リンさんのエピソードをご紹介します。彼女は来日して5年、日常会話には不自由していませんでしたが、漢字の読み書き、特に手書きに苦手意識を持っていました。帰化を決意した彼女は、まず小学校2年生の漢字ドリルを購入し、毎日1ページの練習を始めました。同時に、地域の国際交流センターが開催する日本語教室に通い、会話練習や作文の添削指導を受けました。こうした地道な努力を1年間続けた結果、彼女は自信を持って面接に臨み、無事に帰化の許可を得ることができたのです。

日常生活で日本語に触れる機会を増やす

最も効果的なのは、日常生活の中で意識的に日本語を使う機会を増やすことです。例えば、以下のようなことを試してみてはいかがでしょうか。

  • 日本人と積極的に会話する機会を作る(地域のイベントに参加するなど)
  • テレビのニュースやドラマを日本語字幕付きで見る
  • 子供の教科書や絵本を一緒に読んでみる
  • 日本の新聞や簡単な小説を読んでみる
  • 日記を日本語でつけてみる

インプットとアウトプットを繰り返すことで、語彙力や表現力は着実に向上していきます。

 

公的な学習支援や教材を活用する

独学に限界を感じたら、外部のサポートを活用するのも一つの手です。

多くの市区町村では、外国人住民のために無料または安価な日本語教室を開いています。

また、公文式のような通信教育を利用して、自分のペースで学習を進めることもできます。書店に行けば、JLPT対策の問題集や漢字ドリルなど、様々なレベルの教材が手に入ります。自分に合った方法を見つけて、学習を継続することが大切です。

 

専門家である行政書士に相談する

帰化申請は、日本語能力だけでなく、膨大な書類作成や法的な要件の確認など、専門的な知識が求められる手続きです。

日本語能力に不安がある方はもちろん、手続き全体をスムーズに進めたい方は、帰化申請を専門とする行政書士に相談することを強くお勧めします。

専門家は、あなたの日本語レベルを客観的に評価し、必要な対策について具体的なアドバイスをしてくれます。

また、面接で想定される質問への準備や、動機書の作成サポートなど、許可の可能性を高めるためのきめ細やかな支援が期待できます。

 

まとめ

この記事では、帰化申請において求められる日本語能力について、具体的なレベルや審査のポイント、そして対策方法を解説しました。重要なポイントを改めてまとめます。

  • 帰化申請の法律(国籍法)に日本語能力の明確な規定はないが、実務上は「小学校3年生レベル」が目安とされている。
  • これはJLPT(日本語能力試験)のN3~N4程度に相当するが、資格の有無だけで判断されるわけではない。
  • 「読む」「書く」「話す」の3つの能力が、事前相談から面接に至るまで、手続きの全段階で総合的にチェックされる。
  • 面接などで日本語能力に疑問を持たれた場合、筆記テストが課されることがある。
  • 日本語能力に不安がある場合は、日常生活での実践や公的支援の活用、そして専門家である行政書士への相談が有効な対策となる。

帰化申請は、あなたの人生における大きな一歩です。日本語能力というハードルを乗り越え、夢を実現させるために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。ご自身の状況に合わせてしっかりと準備を進め、自信を持って申請に臨んでください。

 

みなとまち行政書士事務所の帰化申請サポートサービス

みなとまち行政書士事務所は、コンサルティングから書類作成はもちろん、入国管理局への申請までサポートさせていただきます。

帰化申請は非常に複雑で、多くの時間と労力を要する手続きです。日本語能力に関するご不安はもちろん、膨大な必要書類の収集・作成、法務局との折衝など、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサポートプランをご提案いたします。

初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。専門家と一緒に、日本国籍取得への道を歩み始めましょう。

サービス内容
  1. 帰化申請に関するコンサルタント
  2. 法務局へ提出する書類の収集
  3. 法務局へ提出する書類の作成
  4. 申請時に法務局へ同行
  5. 結果受領に至るまでのサポート
費用

>>費用についてはこちらをご覧ください。

 

サポートの流れ

  • 1.お問い合わせ

    電話(06-4305-7395)や、お問合せフォーム(こちら)からお問い合わせください。
    些細なことでもお気軽にお尋ねください。

  • 2.面接 / 見積

    ご依頼を検討いただける場合、更に細かくお話をお聞きさせていただくべく面談をさせていただきます。
    また、費用やサポート内容についてもご説明させていただきます。

  • 3.ご依頼の確定

    サポート内容や費用等の条件にご納得いただければ、ご依頼を確定することを申し付けください。
    着手金をお支払いいただきまして、正式なご依頼とさせていただきます。

  • 4.書類の収集・作成

    当事務所が取得できる書類は代行して手配いたします。
    お客様で準備、作成していただく必要がある書類はご協力をしていただきます。

  • 5.法務局での確認

    申請までに2〜3回程度、法務局で書類の確認を受けます。
    行政書士が代わって出頭いたします。

  • 6.法務局で申請

    お客様に法務局まで出頭していただき、申請の受付を行います。
    (申請には申請者本人が出向く必要があります。)
    また、申請のタイミングで残りの費用をお支払いいただきます。

  • 7.面接の連絡

    申請から2~3ヵ月後に、法務局から面接日時調整の連絡があります。

  • 8.面接

    予約した日時に法務局に出頭していただき、面接を受けていただきます。

  • 9.審査

    審査には通常9カ月から1年半程度かかります。
    この間に事情の変化(転勤や住所の変更など)があれば法務局に連絡してください。

  • 10.法務局から連絡

    法務局担当官から連絡があり、許可・不許可の結果が通知されます。

この記事を書いた人

大阪の行政書士 可児和武の画像
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。

定型的な業務以外にもできる限り対応させていただいております。
お困り事がありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
 
 
経歴紹介
理工系の学部卒業
機械製造メーカーに就職 金型の設計部門に配属
2年半後に、父親の経営する自動車部品メーカーに転職
製造設備のオペレーター、品質管理の責任者を経て代表取締役に就任(39歳のとき)
事業会社を売却、代表取締役退任
行政書士事務所開業、現在に至る