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帰化申請が不許可となった原因

帰化申請サポート 

 

帰化を申請して残念ながら許可となった場合は、法務省から管轄の法務局へその旨が通知され、通知を受けた法務局長から申請者に対し不許可の通知書が送られます。

ビザ関連の申請では不許可となった場合、1回に限りその理由を聞くことができますが、帰化申請では不許可と判断された理由を聞くことはできません。

申請を受理した法務局・地方法務局に問い合わせても教えてくれませんし、その法務局・地方法務局にしても不許可になった正確な理由は分からないというのが実際のところだと思います。

再申請するためには、不許可となった事由を解消することが必要ですが、理由が分からなければそれをすることもできません。

こちらの記事では、不許可となった理由を考える手がかりとするために帰化申請が許可されるための要件をみていきたいと思います。

 

どのように審査されるのか?

まず、帰化はどのように審査されるかみていきます。

帰化の申請は、住所地を管轄する法務局・地方法務局に対して行ったと思いますが、ここでは帰化要件を満たしているか、必要書類に不備・不足がないかなどをチェックされます。

帰化要件を満たしており、書類に不備・不足がなければ申請は受理され、法務省(法務大臣)に送られます。

その後、様々な部署あるいは省をまたいで申請人やその親族に関して綿密な調査が行われ、最終的に法務大臣により帰化の可否が判断されることとなっております。

帰化の許可には要件が法定されており、この要件をクリアすることは必要最低条件ですが、要件を全て満たしている場合でも当然に帰化が許可されるものではありません。

帰化の許可は、裁量(さいりょう)行為とされており、要件を全て満たしている場合でも他の事情を勘案して許可することが適当でないと判断される場合には、行政機関の裁量で不許可処分とすることができるとされています。

(裁量行為の対義語は、「羈束(きそく)行為」で、これは要件を全て満たしていた場合は必ず許可処分しなくてはならないものとされています。)
 

帰化の要件

帰化の要件は、国籍法で定められています。

(国籍法 第5条)

法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。

  1. 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
  2. 二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること。
  3. 素行が善良であること。
  4. 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
  5. 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。
  6. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊し、若しくはこれを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

 
条文上では6つの要件ですが、実際の運用ではこれらに加え日本語の能力が問われることになります。

ですから一般的には“帰化申請の要件は7つ”といわれています。

では、それぞれの要件についてみていきたいと思います。
 

引き続き5年以上日本に住所を有すること

帰化申請をするときまでに、引き続き5年以上日本に住所を有していなければなりません。

「引き続き」の意味は、仕事や旅行、親族訪問などで日本を出国していた期間が 連続して90日程度であるような場合であったり、年間の出国日数が合計で100日程度であるような場合は、「引き続き」とみなされない可能性があります。

この場合は、住所を有していた期間がリセットされることになり、再びこの時点から5年間がカウントされます。

連続90日や合計100日を1日でも超過していればダメというわけでもはなく個々の事情を斟酌されることもあるとのことですが、いずれにせよ出国日数は少ないに越したことはありません。

又、5年以上の在留の間にアルバイトを除いた 就労期間が3年以上必要とされています。

ですから、留学ビザでの在留はたとえ10年間経過していたとしてもこの要件をクリアすることにはなりません。

なお、5年に満たない場合でも日本と特別な関係を有する外国人(例えば、在日韓国人・在日朝鮮人・在日台湾人の方、日本人と結婚している方や日本人の子、かって日本人であった人など)は簡易帰化という制度あり、この要件が緩和されています。

ご参照:『簡易帰化について』

 

二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること

未成年

親と一緒に帰化申請する場合以外は、申請人が20歳以上であり、本国の法律によって「行為能力を有する年齢」となっていることが必要です。

日本の法律では20歳が成人で、その時から「行為能力を有する」と定められていますが、国によっては、成人年齢が異なっており、21歳が成人と定められいる国もあるため単に年齢が20歳以上であればよいという訳ではありません。
 
成人年齢が21歳の国は、インドネシア、シンガポール、エジプト、アルゼンチンなどです。

なお、20歳未満であっても親と一緒であれば帰化申請をすることができます。

素行が善良であること

素行が善良であることが要求されます。

素行が善良という意味は、単に犯罪を犯していないということだけではなく、年金や税金の納付をきっちりと行っているかということがみられます。

年金

会社員であって給料から厚生年金が控除されている人は、通常は会社が年金支払いの手続きをしていますので問題はありません。

小規模の会社に勤めている人など、給料から厚生年金が控除されていない場合は、自分で国民年金を支払う必要があります。もし支払いをしていない場合は、直近1年分を支払うことで、年金保険料未払いの問題をクリアすることができる場合があります。

申請人が会社経営者の場合は、厚生年金の加入漏れに注意してください。法人事業所は、厚生年金の強制適用事業所に当たりますので、加入していないときは速やかに加入し保険料を納付してください。また、国民年金の未納分についても直近1年分の納付が最低必要となります。

税金や年金の未納や滞納があれば許可の可能性はほぼなくなりますので、帰化申請をする前に必ず解消しておくべきです。
 

税金

年金と同様、給料から控除されている場合は問題ありませんが、控除されていない場合は自分で申告、納付することが必要になります。

結婚されている方は、配偶者の税金の納付状況を確認されます。

法人の経営者は法人税、個人事業主は個人事業税を支払っていることが必要です。

税金を安くする目的で、本当なら扶養していない配偶者や親族を扶養者に入れているような場合、不許可となりえますので注意が必要です。このような場合は、修正申告をして納税する必要があります。

また、うっかりと見過ごしがちなのが贈与税です。

日本国内に住所を有している間に母国の親から財産の分与があったなどの場合は、日本の法律により贈与税の申告をする必要があります。こちらも、漏れている場合は修正申告をして納付する必要があります。
 

前科、犯罪歴

罪の内容や軽重により、また他の状況も含めて総合的に判断されます。

ですから一概に何年経過するれば帰化が許可されるとは言えませんが、相当程度の年数が経過しないと難しいと考えます。
 

交通違反

過去5年間の違反履歴が審査の対象となります。

駐車違反や一旦停止違反のような軽微な違反であれば5回程度までなら問題ないと思われます。

ただし、飲酒運転のような重大な違反であれば相当程度の年数の経過が求められます。
 

自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること

ご自身や一緒に住む配偶者、親族の資産、収入により最低限の生活ができることが必要となります。

収入の目安としては、手取りの給料の額が 月額18万円程度以上あることに加え、月々の収支が赤字となっていなければ問題なしと判断されます。

「貯金があれば失業中でも大丈夫か?」との問い合わせをいただくことがあります。

預貯金の額にもよりますが、それより仕事に就いていて安定した月々の収入があることの方が有利に判断されることになります。

ローンなどの借入については、返済の遅れや滞納がなければ問題ありませんが、収入に対して借入額が過大であれば問題ありと判断されることになります。

過去に自己破産をした人は、破産手続きの開始決定日から7年以上経過していれば問題ありません。
 

国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

多くの国は、自国民が外国に帰化するとその国の国籍を喪失することになっています。

一応の注意は必要ですが、この要件はあまり気にする必要はないでしょう。
 

日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊し、若しくはこれを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと

政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと

申請者本人や同居人、親族が暴力団等の組織に属していないかが問われます。

また、本国にいる親や親族がその国で反体制派とみられている場合は不許可となるリスクとなりえます。外務省を通じて本国にも調査の手が及びますので、親や親族の活動、思想にも注意が必要です。

親が(もちろん、申請者本人も)、朝鮮総連で役員をしていた場合は許可されません。また、申請者本人が経営している会社が北朝鮮の関連会社と取引している場合も不許可となる可能性が高くなります。

日本語の能力があること

日本人として生活していくために、最低限の日本語の能力(読み、書き、話す)が要求されます。

その目安ですが、 ひらがな、カタカナは完璧なレベルを要求され、漢字は小学校1、2年生で習得すべきものが読み書きできるレベルを要求されます。

申請時に提出する書類に「帰化の動機書」があり、これは申請者が自筆すべきものですが、ここでどの程度の難易度の漢字を使っているかが見られています。

(リンク:文部科学省 学年別漢字配当表

又、法務局によっては、筆記テストを実施される場合があります。
 

その他

面接に臨む際の服装や態度、言葉遣いにも注意をして下さい。

特別に丁寧な態度や言葉遣いをする必要はないですが、面接官も人間ですので悪い印象を持たれないに越したことはないと思います。

以前、ビザの申請や永住権の申請ですんなりと許可を受けることができた人が、帰化申請において要件は全て満たしていたのにも関わらず不許可になったという話を聞いたことがあります。

もちろん本国にいる親族に問題があったのかもしれませんし、本人にも気づいていないような瑕疵があったのかもしれません。

ただ、面接を含め帰化申請を少し安易に考えられていたふしがあり、それが言葉遣いや態度に出てしまいマイナスに評価されたということも考えられます。

いずれにせよ手続きを進める過程で悪い印象を持たれないに越したことはありません。

また、面接時に聞かれたこと以外に余計なことを話さない方が無難かもしれません。

ウソをつくのは論外ですが、本当の事でもいらぬ誤解をもたれてそれがマイナスに働いてしまうことにもなりかねません。

尋ねられたことだけを正直に回答するのみにして下さい。

 

この記事を書いた人

大阪の行政書士 可児和武の画像
可児行政書士事務所の可児(かに)と申します。

旅行が好きで、ふらっと出かけることもあります。昔は家族でよく出かけていましたが、最近は妻も娘も相手にしてくれなくなったので、一人旅を楽しんでおります。サービスエリアで1人ソフトクリームを食べているおじさんを見たら、たぶんそれはワタシです。
 

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