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【定住者ビザ】複雑な要件を徹底解説!永住権への道筋も

ビザ(在留資格)申請サポート 

日本での生活をより安定させ、長期的な視点で将来を考える際、在留資格「定住者」は非常に重要な選択肢となります。この在留資格は、他の一般的なビザとは異なり、個々の特別な事情を考慮して付与されるため、その要件や申請プロセスは複雑に感じられるかもしれません。しかし、適切に理解し、準備を進めることで、日本での活動の幅を広げ、さらには永住権への道を開く可能性を秘めています。

「定住者」ビザは、就労活動に制限がないため、取得後は多様な職種に就くことができ、生活の自由度が高まります。また、一定期間の在留実績を積むことで、将来的に「永住者」ビザへの変更も視野に入れることができます。これは、日本に永住を希望する外国人にとって、非常に魅力的なメリットと言えるでしょう。しかし、この重要な在留資格を取得するためには、どのような条件を満たし、どのような手続きが必要なのでしょうか。

こちらの記事では、在留資格「定住者」の複雑な要件から、申請のポイント、そして永住権への具体的な道筋まで、詳しく見ていきたいと思います。

 

在留資格「定住者」とは?その特徴と重要性

在留資格「定住者」は、日本の在留資格制度の中でも特にその性質がユニークであり、他の一般的な在留資格とは一線を画します。これは、特定の活動内容や身分・地位に基づいて付与されるのではなく、法務大臣が個々の事情を総合的に考慮し、日本に相当期間の在留を認めることが適切であると判断した場合に与えられる、いわば「特別な在留資格」だからです。

この在留資格の最大の魅力は、在留活動に制限がないという点にあります。つまり、「定住者」の資格を持つ外国人は、日本国内でどのような職種に就いてもよく、転職や起業も自由に行うことができます。これは、就労ビザのように特定の職種や企業に縛られることがなく、日本での生活設計において非常に高い自由度と柔軟性をもたらします。例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格では、専門分野以外の仕事に就くことは原則として認められませんが、「定住者」であれば、そうした制約から解放されます。

また、「定住者」ビザは、将来的に「永住者」ビザへの変更が比較的認められやすいという重要な特徴も持っています。永住者ビザは、日本に無期限で在留できる最も安定した在留資格であり、多くの外国人が最終的な目標としています。「定住者」として一定期間日本に在留し、日本の社会に貢献していると認められれば、永住許可の要件を満たしやすくなるため、日本での永住を希望する方にとって、「定住者」ビザは永住への重要なステップとなるのです。

例えば、ある外国人の方が、日本人の配偶者と離婚後も日本で子育てを続けるために「定住者」ビザを取得したとします。彼女は、このビザのおかげで安定した職に就き、子供を育てながら日本の社会に溶け込んでいきました。数年後、彼女は永住者ビザの申請を検討し、これまでの定住者としての在留実績が、永住許可の大きな後押しとなったのです。このように、「定住者」ビザは、単なる在留資格以上の意味を持ち、日本での生活の質を向上させ、将来の選択肢を広げるための基盤となり得るのです。

この在留資格は、法務大臣の裁量によって付与される性質上、申請には個別の事情を詳細に説明し、その必要性を説得力をもって示す必要があります。そのため、申請準備には専門的な知識と経験が不可欠となります。次章以降では、この「定住者」ビザの具体的な要件について、さらに深く掘り下げて解説していきます。

 

「定住者告示」で定められた要件を徹底解説

在留資格「定住者」の取得を検討する際、まず理解すべきは「定住者告示」です。これは、法務省が定めている「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」の別表第三に記載されているもので、「定住者」として日本に来日するための具体的な条件を示しています。この告示に該当するケースは、比較的スムーズに許可が下りやすい傾向にあります。

主な定住者告示に該当するケースは以下の通りです。

  • 一号:ミャンマー難民(タイ)
    タイ国内に一時滞在しているミャンマー難民の方々が、日本に定住を希望する場合に適用されます。
  • 二号:ミャンマー難民(マレーシア)
    マレーシア国内に一時滞在しているミャンマー難民の方々が、日本に定住を希望する場合に適用されます。
  • 三号:日本人の子として出生した者の実子(日系三世)
    • 日本人の孫(日系三世)にあたる方。
    • 元日本人の日本国籍離脱後の実子(日系二世)にあたる方。
    • 元日本人の日本国籍離脱前の実子の実子(日系三世)にあたる方。
    • 日系四世についてはこちらもご参照ください。
  • 四号:日本人の子として出生した者でかつて日本国民として日本に本籍を有したことがあるものの実子の実子
    • 元日本人の国籍離脱後の実子の実子(日系三世)にあたる方。
  • 五号:配偶者(次のいずれかに該当)
    • イ:日本人の配偶者(ただし、配偶者ビザの要件を満たさない特別な事情がある場合など)
    • ロ:定住者(在留期間が1年以上)の配偶者。
    • ハ:定住者(三号、四号に該当する日系人)の配偶者。
  • 六号:未成年で未婚の実子
    • イ:日本人、永住者、定住者の子。
    • ロ:定住者(在留期間が1年以上)の子(三号、四号、五号ハを除く)。
    • ハ:定住者(三号、四号、五号ハに該当する日系人やその配偶者)の子。
    • ニ:日本人、永住者、特別永住者、定住者(在留期間が1年以上)の配偶者の子。
      ※配偶者は在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」を有するものに限る。
  • 七号:6歳未満の養子
    • イ:日本人の養子。
    • ロ:永住者の養子。
    • ハ:定住者(在留期間が1年以上)の養子。
    • ニ:特別永住者の養子。
  • 八号:中国残留邦人及びその関係者
    戦後の混乱期に中国に残留せざるを得なかった日本人とその家族、子孫の方々。

これらの告示に該当する場合でも、申請者には「素行善良要件」が求められることがあります。特に、三号、四号、五号ハ、六号ハに該当する方々には、以下の点が審査基準となります。

素行善良要件の具体的な判断基準

素行善良要件とは、簡単に言えば「日本社会のルールを守り、善良な市民として生活しているか」という点です。これは、単に犯罪歴がないというだけでなく、日常生活における規範意識も問われます。具体的には、以下のような点が審査されます。

  • 懲役、禁錮または罰金に処せられたことがないこと(一定期間が経過した者は除く)。
    過去に犯罪歴がある場合でも、刑の執行終了後や恩赦後、一定期間が経過していれば問題ないケースもありますが、個別の判断が必要です。
  • 少年法による保護処分が継続中ではないこと。
    未成年時の非行歴であっても、保護観察などが継続している場合は許可が難しくなります。
  • 軽微な法令違反であっても、繰り返し行ったりしないこと。
    例えば、交通違反の繰り返しや、ゴミの不法投棄など、軽微なものでも常習性があると判断されると不利になります。
  • 入管法上の違法行為、不法就労のあっせんを行った者ではないこと。
    不法滞在や不法就労、あるいはそれらを助長する行為は、最も厳しく審査されます。

これらの要件は、日本社会で安定した生活を送る上で基本的な規範を守っているかを確認するためのものです。申請を検討する際は、ご自身の過去の行動を振り返り、不安な点があれば専門家にご相談いただくことをお勧めします。

 

「告示外定住」の特別な事情と許可のポイント

「定住者告示」に該当しないケースでも、在留資格「定住者」が認められることがあります。これを一般的に「告示外定住」と呼びます。告示外定住は、法務大臣の広範な裁量によって許可されるものであり、個々の申請者の「やむを得ない特別の事情」が非常に重視されます。この「特別の事情」とは、人道的な配慮が必要な場合や、日本社会との強い結びつきがある場合などが挙げられます。

告示外定住の主なケースは以下の通りです。

  • ア:日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望する者(ウに該当する者を除く)
    日本での生活基盤が確立されており、離婚後も日本に滞在する必要性がある場合。
  • イ:日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者(ウに該当する者を除く)
    配偶者の死後も、日本での生活を継続せざるを得ない状況にある場合。
  • ウ:日本人の実子を看護・養育する者
    日本人の実子がいる場合、その子の養育のために日本に滞在する必要がある場合。これは特に人道的な配慮が強く働くケースです。
  • エ:日本人、永住者又は特別永住者である配偶者との婚姻が事実上破綻し、引き続き日本に在留を希望する者
    婚姻関係が破綻していても、日本での生活基盤や人道的な理由から在留が必要と認められる場合。
    ※ウを除き、3年以上の婚姻実績が必要とされています。これは、偽装結婚などを防ぐための措置と考えられます。

告示外定住の申請では、以下の点が特に厳しく審査されます。

告示外定住の審査ポイント

告示外定住は、個別の事情を深く掘り下げて判断されるため、申請書類や説明資料の準備が非常に重要になります。特に以下の3つのポイントは、許可の可否を分ける重要な要素となります。

  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有しているか
    日本で生活していく上で、経済的に自立できる能力があるかどうかが問われます。安定した収入源があるか、あるいは専門的な技能を持っており、それが日本での就労に結びつくかなどが評価されます。例えば、離婚後も日本で子供を育てる母親が、安定した職に就いており、十分な収入があることを証明できれば、この要件を満たす可能性が高まります。
  • 日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものではないこと
    日本語能力は、日本社会での適応度を示す重要な指標です。日常会話に困らない程度の日本語力はもちろん、公共サービスを利用したり、地域社会に溶け込んだりする上で支障がないレベルが求められます。日本語能力試験(JLPT)のN3レベル以上が目安となることが多いですが、試験の合格が必須というわけではなく、実際のコミュニケーション能力が重視されます。
  • 公的義務を履行していること、又は履行が見込まれること
    納税義務(所得税、住民税など)や社会保険料(年金、健康保険)の支払い状況は、日本社会の一員としての責任を果たしているかを示す重要な要素です。過去に未納や滞納がある場合は、その理由を明確にし、現在は適切に履行していることを示す必要があります。これは、永住申請においても非常に重視されるポイントであり、定住者ビザの申請段階から注意が必要です。

告示外定住の申請は、個別の事情が複雑に絡み合うため、非常に難易度が高いと言えます。例えば、ある外国人女性が、日本人男性と結婚して日本で暮らしていましたが、夫からのDVが原因で離婚に至りました。彼女は日本に友人も多く、日本語も堪能で、離婚後も日本で自立して生活できるだけの経済力がありました。このような場合、人道的な配慮と日本社会との強い結びつきを総合的に判断し、告示外定住が許可される可能性があります。しかし、そのためには、DVの事実を証明する資料や、日本での生活基盤を示す詳細な書類を準備し、説得力のある説明を行う必要があります。専門家のアドバイスを受けながら、慎重に準備を進めることが成功への鍵となります。

 

定住者ビザから永住権へのステップと注意点

在留資格「定住者」を取得した後、多くの外国人の方が次の目標として考えるのが「永住者」ビザへの変更です。永住者ビザは、日本での在留期間に制限がなくなり、活動内容も自由になるため、日本に永住を希望する方にとって究極の目標と言えるでしょう。しかし、「定住者」から「永住者」への道のりは、いくつかの重要なステップと注意点があります。

まず、永住許可の一般的な要件として、以下の3つが挙げられます。

永住許可の3つの要件
  • 素行が善良であること
    これは「定住者告示」の素行善良要件と同様に、法令遵守や社会規範を守る生活を送っているかが問われます。犯罪歴や交通違反の有無、住民としての義務履行状況などが審査されます。
  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
    安定した収入があり、将来にわたって日本で生活していく上で経済的に自立できる能力があることが求められます。年収や預貯金、資産状況などが総合的に判断されます。
  • その者の永住が日本の国益に合すると認められること
    これが永住許可の最も重要なポイントであり、総合的な判断がなされます。具体的には、以下の点が考慮されます。
    • 原則として引き続き10年以上日本に在留していること。
      ただし、このうち就労資格または居住資格をもって5年以上在留していることが必要です。定住者の場合は、この「居住資格」に該当するため、比較的有利と言えます。
    • 公的義務(納税、公的年金、公的医療保険の保険料の納付、出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
      特に、過去5年間の納税状況や社会保険料の納付状況は厳しくチェックされます。未納や滞納がある場合は、永住許可が非常に難しくなります。
    • 現に有している在留資格について、最長の在留期間(3年又は5年)を付与されていること。
      これは、安定した在留状況が認められていることの証とされます。
    • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
      感染症など、公衆衛生に影響を及ぼす可能性がないかどうかが確認されます。

「定住者」ビザから永住者ビザへの変更を考える際、特に注意すべきは「公的義務の履行状況」です。これは、納税や社会保険料の納付状況を指し、過去の記録が厳しく審査されます。例えば、会社員であれば所得税や住民税、個人事業主であれば確定申告の状況、そして国民年金や健康保険の支払い状況が重要です。たとえ少額であっても、未納や滞納があると、永住許可が下りない大きな要因となります。申請前に、これらの義務を全て履行しているか、必ず確認するようにしましょう。

また、永住申請では、申請者の日本社会への貢献度も評価されます。例えば、地域活動への参加、ボランティア活動、あるいは特定の分野での専門的な貢献などが挙げられます。これらは必須ではありませんが、申請を有利に進める要素となり得ます。

永住申請は、定住者ビザの申請以上に提出書類が多く、審査も厳格です。ご自身で準備を進めるのが難しいと感じる場合は、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。専門家は、必要な書類の選定から作成、入国管理局への申請まで、一貫してサポートしてくれます。これにより、申請の不備による不許可のリスクを減らし、スムーズな永住許可を目指すことができるでしょう。

 

まとめ

在留資格「定住者」は、その特別な性質ゆえに、日本での生活に大きな自由度と安定性をもたらす重要なビザです。就労活動に制限がなく、将来的に永住権への道も開かれるため、日本に長期的に滞在し、生活基盤を築きたいと考える外国人にとって、非常に魅力的な選択肢となります。

本記事では、「定住者」ビザの基本的な特徴から、法務省令で定められた「定住者告示」の具体的な要件、さらには個別の事情が考慮される「告示外定住」のポイントまで、幅広く解説しました。特に、日系人の方々や、日本人・永住者との関係性に基づく申請、そして人道的な配慮が必要なケースなど、多岐にわたる状況が「定住者」の対象となり得ることがお分かりいただけたかと思います。

また、永住者ビザへのステップについても触れ、特に「素行善良要件」「独立の生計要件」、そして「国益適合要件」という3つの重要なポイントを強調しました。中でも、納税や社会保険料の適正な履行は、永住許可の可否を大きく左右する要素であり、申請を検討する際には、ご自身の公的義務の履行状況を徹底的に確認することが不可欠です。

「定住者」ビザの申請、そしてその先の永住申請は、いずれも複雑な手続きと専門的な知識を要します。個々の事情に応じた適切な書類準備や、説得力のある理由説明が求められるため、ご自身だけで全てを完璧に進めるのは容易ではありません。不安を感じる場合や、より確実に手続きを進めたい場合は、入管法に精通した専門家である行政書士に相談することをお勧めします。専門家は、あなたの状況を正確に把握し、最適な申請戦略を立て、許可取得までを強力にサポートしてくれるでしょう。

この情報が、日本での安定した生活を目指す皆様の一助となれば幸いです。

 

みなとまち行政書士事務所の帰化申請サポートサービス

みなとまち行政書士事務所は、コンサルティングから書類作成はもちろん、入国管理局への申請までサポートさせていただきます。

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この記事を監修した人

大阪の行政書士 可児和武の画像
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。

定型的な業務以外にもできる限り対応させていただいております。
お困り事がありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
 
 
経歴紹介
理工系の学部卒業
機械製造メーカーに就職 金型の設計部門に配属
2年半後に、父親の経営する自動車部品メーカーに転職
製造設備のオペレーター、品質管理の責任者を経て代表取締役に就任(39歳のとき)
事業会社を売却、代表取締役退任
行政書士事務所開業、現在に至る