外国人が転職を考えたとき/転職したときの手続きについて
ビザ(在留資格)申請サポート
こちらの記事では、在留する外国人の方が転職を考えたとき、または転職をしたときにするべき手続きについてみていきたいと思います。
就労系ビザをもって在留している外国人が転職した際には、下記の手続きする必要があります。
転職に際して必要な手続き
転職に際してこれら全ての手続きが必要というわけではありません。
転職前と転職後の業種や現在の在留資格の残りの期間により必要な手続きが異なります。
どのような場合にどのような手続きが必要かは以下の表をご参照ください。
転職後の業種/業務は? | ステイタス | 必要となる手続き |
転職前と業種が同じで業務内容も同じ | 在留期間が3カ月以上残っている | |
在留期間が3カ月以上残っていない | ||
転職前の業務内容と同じかどうか分からない | ||
転職前と業種が異なる | 転職前と業種は異なるが、業務内容は同じ | |
転職前と業種が異なり、業務内容も異なる |
「所属機関等に関する届出」について
それではまず、転職したすべての人が提出しなければならない「所属機関等に関する届出」についてみてきます。
就労系ビザをもって在留している外国人の方は、勤めていた会社を退職した時や新たな会社に就職した時に「契約機関等に関する届出」を入国管理居に提出しなければなりません。
この届出は、事由(退職、再就職など)が発生してから14日以内にすることが義務付けられています。
届出を怠ると次回のビザ更新の際に審査上マイナスに影響しますので、忘れずに届出をしてください。
該当する在留資格
この届出をすることが必要な人は、就労系ビザをもって在留している外国人の方になります。
ですから、身分系ビザをもって在留している外国人の方が退職や転職した場合には不要です。
就労系ビザ
- 高度専門職
- 研究
- 技術・人文知識・国際業務
- 介護
- 興行(所属機関等との契約に基づいて活動に従事する者に限る。)
- 技能
- 特定技能
など
提出方法
下記の方法により提出することができます。
- インターネットによる提出
- 窓口に持参
- 郵送による提出
事前に入国管理局電子届出システムに登録をしておけば、インターネットにより届出をすることができます。
(リンク:電子届出システムはこちら)
最寄りの地方出入国在留管理官署に提出してください。
下記の住所に送付してください。(在留カードのコピーを同封してください。)
東京出入国在留管理局在留管理情報部門届出受付担当
※表面に赤字で届出書在中と記入してください。
必要書類
届出に際しては以下の書類を用意する必要があります。
「就労資格証明」について
「就労資格証明書」とは、外国人の方が行うことができる活動(事業や就職)を法務大臣が証明する文書です。
外国人の方が転職する場合(もしくは転職した場合)に、この「就労資格証明書」の取得申請をすることで、転職後の仕事を現在の在留資格で行うことができるかを確認することができます。
「就労資格証明書」を取得できたということは、現在の在留資格で転職後の仕事をしても問題がないということで、すなわち在留資格の変更許可申請をしなくてもいいということになります。
もし、転職後に「就労資格証明書」の取得申請をして不許可となった場合、不法就労ということになり、最悪の場合外国人は強制退去処分に、雇い主は不法就労助長罪に問われることになります。
また、転職後に「就労資格証明書」の取得申請をせずにビザの更新申請をむかえた場合に、更新審査で「更新不許可」となるリスクがあります。
このようなことにならない為にも、転職前に取得申請をしてください。
「就労資格証明書」の取得は任意(転職時に必ず取得しないといけないものではないありません。)ですが、雇う側も雇われる側も安心することができるものだといえます。
申請に必要となる書類
就労資格証明書の交付申請には以下の書類が必要になります。
- 就労資格証明書交付申請書
- 資格外活動許可証(交付を受けている場合)
- 在留カードまたは特別永住者証明書
- パスポート(又は在留資格証明書)の提示
- パスポート(又は在留資格証明書)を提示することができないときは、その理由を記載した理由書
その他の添付書類(転職後に申請する場合)
転職した後に申請する場合は、上記の書類以外に下記の書類を添付します。
- 源泉徴収票(転職前の会社が発行したもの)
- 退職証明書(転職前の会社が発行したもの)
- 転職後の会社等の概要を明らかにする資料 ※1
- 転職後の活動の内容、期間、地位及び報酬の記載のある文章 ※2
- その他(転職理由書、採用理由書など)
※1「転職後の会社等の概要を明らかにする資料」とは
- 商業・法人登記簿謄本(発行後3カ月以内のもの)
- 直近の決算書の写し(新設会社の場合は、今後1年間の事業計画書)
- 会社案内・パンフレット
※2「転職後の活動の内容、期間、地位及び報酬の記載のある文章」とは
下記のいずれかの書類
- 雇用契約書の写し
- 辞令の写し
- 採用通知書の写し
リンク:就労資格証明書交付申請(法務省)
「在留期間更新許可申請」について
在留資格をもって在留する外国人の方は、原則として(在留資格「永住」を除く)与えられた在留期間に限り日本に在留することができることになっています。
在留期間の更新を受けないで、在留期間を過ぎて日本に在留する外国人は、退去強制事由に該当するほか、不法在留罪として刑罰が定められています。(3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金、又は懲役、禁錮、罰金の併科)
うっかり在留期間を過ぎてしまった、とならないように気をつけてください。
申請してから許可が下りるまでの標準処理期間は、2週間から1カ月とされています。
「在留期間更新許可申請」のタイミング
原則、在留期間の満了するおおよそ3カ月前から申請可能です。
※入院や長期の出張など特別な事情がある場合は、3カ月以上前に申請することも可能です。(この場合、事前に申請する入管に問合せをしてください。)
「在留期間更新許可申請」の要件
- 素行が不良ではないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
- 納税義務を履行していること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
「在留期間更新許可申請」に必要な書類
申請には以下の書類を用意する必要があります。
- 在留期間更新許可申請書(研究|技術・人文知識・国際業務|技能|介護|短期滞在|経営・管理)
- 在留カード
- パスポート
- 写真
- 日本での活動内容に応じた資料
- 身元保証書
リンク:在留期間更新許可申請(法務省)
「在留資格変更許可申請」について
在留資格をもって在留する外国人の方が、在留目的を変更して別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合に、在留資格の変更許可申請を行い許可を受けなければなりません。
従事する仕事の内容をを変更する場合(例えば、調理師から経営者となった場合)はもちろんのこと、身分や地位に変更を生じた場合(例えば、日本人の配偶者と離婚した場合)も在留資格の変更をする必要があります。
申請してから許可が下りるまでの標準処理期間は、2週間から1カ月とされています。
「在留資格変更」の要件
在留資格変更の許可を受けるためには以下の要件が設けられています。
全ての要件をクリアすることが求められていますが、全てをクリアしてもその他の事情を勘案して変更が許可されないこともあるとされています。
- 変更後の活動が、入管法別表にある在留資格に該当すること
- 上陸許可基準に適合していること
- 素行が不良でないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- 雇用、労働条件が適正であること
- 納税の義務がある場合にはその履行をしていること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
申請時に必要となる書類
申請にあたり以下の書類を用意する必要があります。
- 在留資格変更許可申請書
- 在留カード
- パスポート
- 身元保証書
- 質問書
- 写真
- 日本での活動内容に応じた資料
- 資格外活動許可書(交付を受けている場合)
リンク:在留資格変更許可申請(法務省)
まとめ
以上、外国人が転職を考えたとき/転職したときの手続きについて説明させていただきました。
転職後の業種や担当する業務内容によって必要な手続きが異なりますので、ご自分がどれにあたるかをよく考えて手続きを進めてください。
また、「就労資格証明書」は転職前に取得する方がその後の手続きをスムーズに進めることができます。
この記事を書いた人
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。
旅行が好きで、ふらっと出かけることもあります。昔は家族でよく出かけていましたが、最近は妻も娘も相手にしてくれなくなったので、一人旅を楽しんでおります。サービスエリアで1人ソフトクリームを食べているおじさんを見たら、たぶんそれはワタシです。